岩盤応力は計らなければ分からない
地球を構成している岩石には、ウラン・トリウム・カリウムといった放射性元素が含まれており、たとえば花崗岩には、ふつう数ppmのウラン、10ppm前後のトリウムそして数パーセントのカリウムが含まれている。46億年の地球史のなかで、繰り返し起こってきた火山の爆発、その原因となった地球内部でのマグマの発生、さらには地震や造山・造陸運動といった多彩な地球史のドラマの原動力は、これらの放射性元素の核壊変エネルギーにほかならない。
静止した空気中の気圧、静止した水中の水圧は、対象となる点の標高が与えられれば分かるが、地圧は計らなければ分からない。それは、岩盤には圧縮・引張やせん断に抵抗する能力があるからである。言い換えれば、地圧は方向によって圧力の大きさが異なる。
鉱山のように地下開発を行う場合、地下発電所や地下実験施設のように地下に構造物を建設する場合には、事前にそこの岩盤応力を計らなければ、それらの合理的設計を行うことはできない。
ところが、地下の開発などに先立つ岩盤応力測定は義務化されておらず、市場は非常に小さいので、大手企業は手を出していないというのが現状である。言い換えれば、信頼できる原位置岩盤応力測定を比較的安価に依頼できるのは、わが国においては、3D地科学研究所だけであると言っても過言ではない。
市場が小さいと言っても、わが国において、応力測定技術を絶滅させるわけにもいかないという理由で3Dを起業したわけである。ただ、わが国で絶滅しても、外国の企業がやることになるが、、、
逆に、外国での業務が比較的多いことから、インターナショナルというのが3D経営の特色である。これまでに、スイス(地下実験施設)、マレーシア(導水トンネル)、チリ(銅鉱山)、現在は南ア(金山)で応力測定を行っているが、中国(石炭鉱山)、ボツワナ(銅鉱山)、シンガポール(地下開発)などから、測定依頼の打診がある。
3Dというネーミングには三つの意味がある。Dirty, Dangerous, Difficult, 創業時に3人の博士(Dr.)従業員そして3次元が得意技である。
手前味噌ではあるが、隙間産業で孤軍奮闘しているさまは称賛に値すると思われる。
水田 義明